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年金制度は役に立つ!ライフプランに活かす年金知識

毎月負担している年金保険料。会社員の人は給料から天引きされ、自営業者の人は毎月納付書や口座引き落としによって納付をしていると思います。

 

同じように毎月支払っているものに健康保険や国民健康保険健康の保険料があります。

こちらは、病気やけがをしたときに、3割の医療費負担で治療を受けられるため、支払いの意義を感じやすいです。

一方、年金保険料も毎月支払っているものの、年金受給は数十年先であることや、制度が難しいため、「なんだか良くわからないけど毎月支払っている」という人も多いと思います。

 

年金は、老後の生活を支えてくれる大切な資金源であると同時に、病気やけがによる障害や死亡によるリスクに備えることができる保険制度です。

 

年金制度はどういうリスクに備えることができるのか、どの程度年金を受給できるのかを知ることで、将来に対する不安を払拭できるとともに、ライフプランの作成に役立ちます。



公的年金制度とは



公的年金は国と日本年金機構が運営している年金制度です。老後の生活を支える年金以外に、事故などで障害を負ったときや、生活を支える人が亡くなったときなど、生活に困窮する場面で一定の給付を受けることにより、生活の安定を図ることができる社会保険制度です。

 

公的年金には2種類あり、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金と、会社員や公務員の方が加入する厚生年金に分けられます。国民年金は対象の年齢であればすべての人が加入しますから、会社員や公務員の方は国民年金にも加入することになります。



国民年金の加入者



国民年金に加入している人のことを被保険者といい、保険料の収め方が異なる3つのタイプに分けられています。

 

◯第1号被保険者

20歳以上60歳未満の自営業者や農業者、学生、無職の人など第2号被保険者および第3号被保険者以外のすべての人が当てはまります。保険料は納付書、口座振替、クレジットカード、ペイジーによって、自分で納めます。最大2年の前払いが可能で、保険料の割引があり、お得に支払うことができます。

 

◯第2号被保険者

厚生年金に加入している会社員や公務員の方が当てはまります。国民年金の保険料は、厚生年金の保険料に含まれているため、厚生年金に加入すると自動的に国民年金に加入することになります。保険料の支払いは自分で行う必要はなく、毎月給料から天引きされ、会社が支払います。保険料は会社と折半して負担しています。

 

◯第3号被保険者

第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収130万円未満)が当てはまります。保険料は扶養者が負担しているため、自分で納める必要はありません。



厚生年金の加入者

 

勤務先が厚生年金に加入していれば、そこで常用の70歳未満の人は自動的に厚生年金に加入することになります。加入できるのは、正社員だけに限られず、パートタイマーでも1週の労働時間および1ヶ月の労働日数が一般社員の4分の3以上である場合などは、厚生年金に加入することになります。

また、上記の条件を満たしていなくても、以下の条件をすべて満たす方は厚生年金に加入することになります。

 

・週の所定労働時間が20時間以上

・雇用期間が1年以上見込まれる

・賃金の月額が8万8千円以上

・学生ではない

・常時501人以上の企業(特定適用事業者)に務めている

 

保険料は給料から天引きされて、会社が納めますので自分で支払う必要はありません。

 

なお、会社から給料が支払われない産前産後休業期間や育児休業等期間中の保険料は免除されますが、年金受給の計算においては、保険料を納めたものとして計算されます。



公的年金で対応できる3つのリスク

 

年金は老後の生活資金であると思いがちですが、現役時代でも、病気やけがで障害を負ってしまったときは障害年金、一家を支える働き手が亡くなってしまったときは遺族の生活を守る遺族年金を受け取ることができます。

老後・障害・死亡という人生における3つのリスクに備えることができるのが、公的年金制度なのです。



老齢年金

 

人生100年時代といわれるほど、長寿化が進む現代において、長生きもリスクと捉えられる場面が出てきています。豊かな老後を送るためには生活を支える資金が必要です。その老後資金となるのが老齢年金です。

老齢年金は受給を開始すれば生涯受け取ることができるため、長生きリスクに備えることができます。

また、年金は物価や賃金の変動に応じて年金の支給額を改定しており、インフレのリスクにも対応しています。

 

老齢年金は原則65歳以降、生涯にわたり受け取ることができる年金で、国民年金からは「老齢基礎年金」、厚生年金からは「老齢厚生年金」が支給されます。老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに、保険料を納めた期間が長いほど多くの年金を受け取ることができます。なお、老齢厚生年金は現役時代の報酬が高いほど受け取る年金額も多くなります。

 

老齢基礎年金を満額受給した場合、月額65,075円で年間780,900円です(令和3年4月分以降)。

厚生年金の受給額は、加入期間と給与の平均額によって年金額が変わります。正確な受給額を計算するのは難しいですが、目安として、平均給与が30万円で35年間加入した場合は、年間約73万円ほど受給できます。この受給額に国民年金の受給額を加えたものが受給できる年金額になります。

 

詳細に年金額を知りたい場合は、年1回届くねんきん定期便で確認してみたり、ねんきんネットで見込額を試算してみましょう。



障害年金

病気やけがによって働けなくなるリスクは誰にでもあります。働けなくなった場合に生活費の補填があるのとないのでは大違いです。こうした場合のリスクに備えることができるのが障害年金です。障害年金は手足などの外形上の障害だけでなく、うつ病や糖尿病、がんなど傷病名にかかわらず、生活や仕事が制限される一定の状態になった場合に請求することができます。

 

請求できるのは、障害の原因となった病気やけがの初診日に、国民年金または厚生年金の被保険者か、国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方です。

 

ただし、初診日の前々月までの年金加入期間に3分の2以上保険料を納めている(免除を含む)か、前々月までの直近1年間に未納がないことが条件になります。

 

受給額は障害の重さによって1級から3級(3級は厚生年金のみ)に区分されており、障害基礎年金の2級は老齢基礎年金の満額と同額、1級はその1.25倍になります。

また、18歳までの子がいれば、加算額があります(第1子および第2子はそれぞれ年224,700円、第3子以降は年74,900円)。

 

障害厚生年金は勤続年数や収入によって変わってきます。例えば、平均月収25万円、加入期間10年の場合、障害厚生年金2級では年165,000円の受給となります。これに、一定の条件で配偶者加算(年224,700円)がつきます。



遺族年金

遺族年金は、亡くなった人に生計を維持されて遺族の生活を保障するための制度です。

残された家族の生活を支える遺族年金ですが、遺族年金をいくら受給できるかは、世帯の状況によって、大きく変わってくるので注意が必要です。

 

遺族基礎年金は子どもがいる年金加入者が対象で、子どもが18歳になった最初の3月末まで受給できます。金額は年780,900円で子の加算があります(障害年金の場合と同額)から子どもが1人の世帯であれば約100万円の受給になります。。

 

遺族基礎年金は夫と妻どちらが亡くなっても子どもがいる場合は受給できますが、遺族厚生年金は夫と妻どちらが亡くなるかで大きく異なります。

夫が亡くなった場合、妻は再婚しない限り原則終身で遺族年金を受給できます(65歳以降は本人の厚生年金に切り替わる可能性あり)。ただし、子どもがいない世帯では、夫が亡くなった時に妻が30歳未満の場合は、5年間しか遺族年金を受給することができないので注意が必要です。

 

妻が亡くなって場合は、子どもがいるかどうか、夫の年齢が55歳以上60歳未満かどうかで受給できるかどうか変わってきます。

例えば、子どものいない55歳未満の夫は、遺族厚生年金を受給することはできず、子どものいない55歳以上60歳未満の夫は、60歳から遺族厚生年金を受給できます。

 

遺族厚生年金の受給額は、亡くなるまでの平均収入と加入期間に応じて変わってきます。遺族厚生年金の受給額は亡くなった方の厚生年金の4分の3が原則です。

遺族厚生年金には、受給資格期間が25年以上ある被保険者が亡くなったことが条件のひとつになっていますが、支給条件を満たせば、25年未満の加入者でも、25年の加入とみなして計算されます。

 

年金知識をライフプラン作成に活かす

 

老後資金や障害・死亡に対するリスクは、残念ながら年金だけで対処するのは難しい部分があります。しかし、将来受け取る年金額や万が一の場合の年金受給額を考慮することによって、老後資金をいくら用意する必要があるのか、どの程度の保障を生命保険や医療保険で得ておく必要があるのかなどを判断することができます。

 

年金制度は内容が難しいですが、どういう年金があるのか、どういうときに受給できるのかなど基本的な仕組みを知ることによりリスクに備え、今後のライフプランに活かしていきましょう。