住宅ローンについて知っておこう(2つの返済方法)
住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
支払い方法によって、毎月の返済負担額や総返済額に違いがありますので、2つの返済方法の特徴を良く理解して、自分たちのライフプランに合った支払い方法を選択しましょう。
元利均等返済
元利均等返済は、元金と利息をあわせた返済額が毎月一定になる返済方法です。
返済額が一定のため、返済計画が立てやすい点が特徴です。返済当初は支払の割合が元金よりも利息のほうが多いですが、返済が進むにつれて、毎月の返済額に占める元金の割合が増えていきます。
元金均等返済
元金均等返済は、返済額に占める元金の割合が一定になる返済方法です。返済当初は月々の返済額が多いため返済負担が大きいものの、返済が進むにしたがって、月々の返済額が着実に減っていくのが特徴です。
元金均等返済については、取り扱いがない金融機関もあるため注意してください。
どちらを選ぶべきか
2つの返済方法のうち、どちらを選ぶべきでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
元利均等返済
メリット
・毎回の返済額が一定のため、返済計画が立てやすい
・元金均等返済と比べて、返済開始当初の返済額が少ない
デメリット
・借入条件が同じである元金均等返済と比べて、総返済額が多くなる
元金均等返済
メリット
・毎回の返済額が、返済が進むにつれて少なくなる
・借入条件が同じである元利均等返済と比べて、総返済額が少なくなる
デメリット
・返済開始当初の返済額が多くなり、毎回の返済負担が大きい
・借入の審査の際、必要な収入が高くなるため、借入可能額が少なくなることがある
元利均等返済のほうが、元金均等返済よりも返済の管理がしやすいものの、毎回の支払いに占める元金返済の金額が、元金均等返済よりも少なくなるため、利息の支払いが増え、結果的に総返済額が増えてしまいます。総返済額を少なくするという点では、元金均等返済のほうがお得になります。
支払い方法による返済額の比較
前提条件 借入元金 3,000万円 返済期間35年 金利1.5%(固定)
元利均等返済の場合
毎回の返済額 91,855円(最終回のみ91,762円)
総返済額 38,579,100円
うち利息分 8,579,100円
元金均等返済の場合
初回の返済額 108,927円
16年目 91,338円
最終回 71,757円
総返済額 37,893,237円
うち利息分 7,893,237円
同じ条件のもとで比較すると、元金均等返済のほうが、利息685,863円分少なくなります。
また、元金均等返済の16年目を迎えると、元利均等返済の返済額と同程度となり、以降の毎回の支払額が減少していきます。
元金均等返済を選択した場合の支払総額抑制効果は、利率が高いほど効果を発揮しますが、その分返済初期の毎回の支払額が増加する点に注意が必要です。
どちらを選ぶかは今後のライフプランとの兼ね合いで決めよう
2種類の支払方法の比較から、次のような特徴がわかります。
・当初の支払額は元金均等返済のほうが多い
・返済期間が進むと、ある時点から、元金均等返済のほうが毎回の支払額が少なくなる
・総返済額は元金均等返済のほうが少なくなる
トータルの返済額が少ない元金均等返済を選択しようと思うかもしれませんが、元金均等返済は、元利均等返済よりも毎回の返済が多くなりがちです。月々の返済が負担になるため、その分貯蓄がしづらい時期になるでしょう。毎月の支払額が元利均等返済と同程度になるのも数十年先のことになります。10年以内くらいの近い将来に子どもの教育費のピークを迎えて支出が多くなりそうな方や、転職や独立を考えていて、一時的に収入が減少しそうな方には、あまり向いていない支払い方法です。
一方で、子どもが幼く、教育費のピークが15年くらい先であるような家庭であれば、子どもの教育費がかかる頃には、住宅ローンの返済が進み、毎月の返済の負担も減少して、バランスのよい家計になっていると考えられます。
支払金額の損得も大事ですが、もっとも重要なのは、家計に無理の生じない返済方法を選択することです。共働き世帯であれば、毎月多くの返済が可能かもしれませんが、子どもが生まれる可能性や、妻の育児による収入減少等もあり得ます。
住宅ローンの支払方法は、今後のライフプランとよく照らし合わせて、自分たちに合ったものを選択するようにしましょう。