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住宅ローンについて知っておこう(住宅ローン金利)

マイホームを購入する際、多くの人が利用するであろう住宅ローンは、最も金利が低いローンであるものの、借入額が大きく、返済期間も長いため、支払う利息は多額になります。

 

例えば、4,000万円を固定金利1.5%で借りて35年で返済(元利均等返済)した場合、返済総額は約5,143万となり、利息は約1,143万円になります。

 

住宅ローンの返済額は、「金利」「借入金額」「返済期間」の3つの要素で決まります。したがって、「低金利」「少ない金額の借入」「短期間での返済」を目指すことにより、利息負担を軽く、総返済額を少なくすることができます。

 

今回は、3つの要素のうちのひとつ、金利についてみておきましょう。

 

住宅ローンの金利は大きく分けて2種類

 

住宅ローンの金利には大きく分けて固定金利と変動金利があります。固定金利選択型は変動金利の一種です。

 

固定金利

 

固定金利は、借り入れたときの金利が返済の最後まで変わらない金利です。そのため、毎回の返済額が変わらず、借入時に元金と利息の総返済額が確定するため、計画的な返済が可能です。また、金利が低いときに住宅ローンを組むと、その後金利が上昇したとしても、低い金利が返済終了まで続くメリットがあります。ただし、次の変動金利に比べると金利が高めであるため、低金利が続いていると、変動金利に比べて多くの利息を支払うこととなります。

 

変動金利

 

変動金利は、市場金利の変動に伴って、一定期間ごとに適用金利が見直される金利です。適用金利は半年ごとに見直しがされますが、その都度返済額が見直されるわけではなく、毎月の返済額は5年ごとに見直しがされます。見直しがされる間は、返済額に占める利息と元本の割合が変更されるため、金利が上昇した場合、利息の支払いが多くなり元本の返済額が少なくなる、あるいは元本がまったく減らないという状態になります。

変動金利は当初の金利が低く設定されていますが、金利が変わってしまうため、返済総額が最後まで確定しません。金利が下がっているときは、返済額が少なくなるメリットがありますが、金利が上昇すると返済が増加するデメリットがあります。

 

固定金利選択型

 

固定金利選択型は、借入から3年、5年、10年など一定期間は金利が固定されて、その期間が終わると金利が見直しされるタイプの変動金利の一種です。

見直し後は固定金利にするか変動金利にするか選択できます。



どの金利を選択するべきか?

 

固定金利と変動金利は上記のとおり、メリット・デメリットが存在します。

それぞれの特徴を理解して、自分たちにあった金利を選択することが重要です。

 

固定金利が向いている人

・計画的に返済したい人

・返済額増えるリスクを取りたくない人



変動金利が向いている人

・借入額が比較的少ない人

・収入の増加が見込める人

・借入当初にたくさん返済したい人

・繰り上げ返済をする予定の人

金利が上昇したときに対処できる人

 

固定金利選択型

・ある一定期間は教育費などと重なるため、支払い額は一定にしておきたい人

 

住宅ローンの金利の選択は、ライフプランにも関わる重要なものです。金利について理解を深め、今後の生活を見据えた金利選択をしましょう。

この家は買える?マイホームの購入予算を知ろう

マイホーム選びの重要な条件のひとつである購入予算。漠然と予算を決めていても、予算オーバーの物件に目がいってしまうこともあると思います。

そうしたときでも、自分たちが購入できるマイホームの購入金額の目安がわかっていれば、判断に迷うことも少なくなります。

 

今回は、自分たちが購入できる物件価格を計算する方法をお伝えします。

 

購入可能額は、頭金+住宅ローン借入額で決まる!

 

マイホームの購入可能額は、物件の購入時に支払う頭金と毎月返済していく住宅ローンの借入額を目安にします。

 

頭金を多めに支払えば住宅ローンの借入額を少なくすることができますが、貯蓄のすべてを頭金にすることは大変危険です。

 

病気や怪我、失業などのいざというときに必要となる生活予備費と、教育費や自動車購入費など将来のための貯蓄は残しておきたいところ。

生活予備費は、福利厚生の手厚い会社員であれば半年分程度、派遣社員や自営業者であれば1年分程度を見積もっておくと安心です。

 

頭金は物件価格の2割程度を目安に、購入諸費用や手元に残すお金とのバランスを考えながら決めましょう。



頭金=貯蓄−購入諸費用−生活予備費−将来のための貯蓄



次に、住宅ローン借入額は、毎月無理のない返済が可能なローン返済額をもとに決めていきます。

現在、家賃を支払っている方の場合であれば、支払っている家賃から購入後にかかる維持費を引いた金額を目安にします。この方法は、現在の家賃負担額とマイホーム購入後の負担額が大きく変わらないため、購入後に支払いが難しくなるという不安が少なくなります。

 

購入後にかかる維持費は、固定資産税や火災保険料、マンションを購入した場合の管理費、修繕積立金、駐車場代などです。購入物件や立地により変わりますが、2万円から3万5千円程度を見込みます。

マイホーム購入のために毎月貯金をしている場合は、その金額を毎月返済額にプラスしても構いません。



毎月返済額=現在の家賃+物件購入のための貯金−購入後の維持費



例えば、月10万円の家賃を支払いつつ、マイホーム購入のために毎月2万円の貯金をしている場合、購入後の維持費を3万円で見積もると、毎月返済額は、9万円になります。

 

9万円=10万円+2万円ー3万円

 

住宅ローン金利1.5%(固定)で、35年返済の場合、毎月9万円を返済できるのであれば、約2,940万円の住宅ローンを借りても返済することができます。

 

毎月の返済額別借入可能額

 

◯利率1.5% 返済期間30年

 

8万円→2,318万円

9万円→2,608万円

10万円→2,877万円

11万円→3,188万円

12万円→3,477万円

 

◯利率1.5% 返済期間35年

 

8万円→2,612万円

9万円→2,940万円

10万円→3,265万円

11万円→3,593万円

12万円→3,919万円



頭金として支払える金額と住宅ローンの借入可能額を足し合わせることにより、購入できるマイホームの目安が分かります。

ただし、気をつけていただきたいのが、ここで確認できる物件の価格は、現在の生活に照らして無理のない返済が可能な物件価格である点です。

 

住宅ローンの支払いは長期に渡ります。返済中に子どもの教育費がかさんだり、病気や怪我による収入の減少に見舞われることもあるかもしれません。現在の購入可能額を確認するとともに、長期のライフプランとも照らし合わせて、無理のないマイホーム購入予算を計画しましょう。

まとめて知っておきたい、マイホームにかかる税金の話

マイホームを購入するときに必要となる税金には、印紙税、登録免許税、不動産所得税があります。また、マイホームを所有している限り、毎年、固定資産税の支払いも必要です。

 

今回は、マイホームにかかる税金について紹介します。

 

1 印紙税

 

印紙税は、印紙税法で定められた課税文書に課せられる税金です。課税文書の作成者が、原則として、課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼り付ける方法により納付します。マイホーム購入時には、主に不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、建築請負契約書に印紙を貼付する必要があります。

 

印紙税率の一部を抜粋すると以下の税額になります。なお、平成9年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書には、一定の軽減措置が適用されます。

 

印紙税額一部抜粋

 

契約金額

1,000万円超5,000万円以下 税額2万円(軽減後1万円)

5,000万円超1億円以下    税額6万円(軽減後3万円)

 

例えば、不動産の購入価格が4,000万円、住宅ローン融資額が3,500万の場合、1万円+2万円=3万円の印紙税が課されます。

 

2 登録免許税

 

マイホームを購入したら、マイホームがどこにあって、どのくらいの広さで誰が持ち主なのかなどの情報を記録しなければなりません。この記録のことを登記といい、法務局で行います。

 

不動産は他の財産と違い、誰が所有しているものなのか、見た目には判断がつきません。そこで、不動産登記を通じて、大切な財産である土地や建物の情報を登記簿に記載して、権利関係などの状況が誰でもわかるようにすることにより、安全で円滑な不動産取引を図る役割を担っています。

 

納付方法は、原則現金ですが、税額が3万円以下の場合には、印紙で納付することができます。

 

マイホーム購入時には、主に所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記が必要になります。所有権保存登記と所有権移転登記は、固定資産税評価額に税率を乗じて算出します。抵当権設定登記は債権額に税率を乗じて算出します。

 

登録免許税率は以下のとおりです。なお、令和4年3月31日(土地については令和5年3月31日)までは一定の条件のもと、軽減税率の適用があります。

 

所有権保存登記(新築) 0.4% (軽減後0.15%)

所有権保存登記(中古) 2%  (軽減後0.3%)

所有権保存登記(土地) 2%  (軽減後1.5%)

抵当権設定登記     0.4%  (軽減後0.1%)

 

例えば、固定資産税評価額3,000万円の土地を購入し、固定資産税評価額2,000万円の建物を新築、住宅ローンの融資を3,500万円受けた場合の登録免許税は515,000円になります。

 

3,000万円✕  1.5%=45万円

2,000万円✕0.15%=3万円

3,500万円✕  0.1%=3.5万円

 

3 不動産取得税

 

不動産取得税は、不動産を取得した人に課される税金です。一戸建て、マンション、新築、中古にかかわらず課税の対象となります。

 

支払いは取得したときの一度だけで、不動産を取得後30日以内に不動産のある都道府県税事務所に申告し納税します。

 

不動産取得税は、土地と建物の固定資産税評価額に税率を乗じて算出します。

一定の条件を満たす新築住宅または中古住宅は、税率の特例および税額控除を受けることができます(以下、令和3年税制大綱の内容に基づき説明します)。

 

令和6年3月31日までの住宅および土地の取得にかかる税率は3%、取得した宅地等の課税標準額は1/2になります。

 

また、購入する住宅が一定の要件を満たせば、軽減措置を受けることができます。建物については、固定資産税評価額から一定額が控除されます。控除額は、建物の新築時期によって定められています。

 

建物の控除額一部抜粋

 

新築時期

昭和60年7月1日から平成元年1月31日   450万円

平成元年4月1日から平成9年3月31日    1,000万円

平成9年4月1日以降           1,200万円

 

この軽減措置を受けられる建物の要件は次のとおりです。

 

1 自己の居住用であること

2 床面積50㎡以上240㎡以下

3 昭和57年1月1日以降に新築されたもの、または地震に対する安全基準に適合することが証明されたもの

 

上記の軽減要件を満たす住宅の敷地は以下の場合、税額控除を受けることができます。

 

1 新築の場合→土地取得から3年以内に建物を新築

2 中古の場合→土地取得から1年以内に建物を取得

 

住宅の敷地の税額控除

次の1と2のいずれか多いほうの金額を税額から控除します。

 

1  45,000円

2 (土地1㎡あたりの評価額✕1/2)✕(住宅の床面積✕2)✕3%

  (注 土地200㎡まで)

 

例えば、自己居住用の新築一戸建て住宅(床面積90㎡、固定資産税評価額1,400万円)とその敷地(面積200㎡、評価額4,000万円)を購入した場合は、6万円+60万円−54万円=12万円となります。

 

建物 (1,400万円−1,200万円)✕3%=6万円

土地  4,000万円✕1/2✕3%=60万円

 

敷地の税額控除

 

1  45,000円

 

2 (20万円✕1/2)✕(90㎡✕2)✕3%=54万円

 

2のほうが多いので、税額控除は54万円になります

 

4 固定資産税・都市計画税

 

固定資産税は、土地や家屋等に課される税金で、様々な行政サービスを行うための財源となっています。納税義務書は1月1日の不動産所有者で、1月2日以降に売買等で所有者が変わっても、当該年度の納税義務者は変わりません。

 

都市計画税は、市街化区域内にある土地や建物について、固定資産税と合わせて課税される税金で、道路や公園、下水道整備などの都市計画事業の財源となっています。

 

納付方法は、毎年5月初旬頃に市町村から送付される納税通知書にしたがって、一括または4回の分割払いにより納付します。

 

固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税の制限税率は0.3%(税率は市町村が条例で定める)で、固定資産税評価額に税率を乗じて税額を算出します。

 

固定資産税=固定資産税評価額✕1.4%

都市計画税=固定資産税評価額✕0.3%

 

建物については、一定の要件を満たす新築住宅の場合、固定資産税の軽減措置があり、税額が1/2になります(床面積120㎡まで)。

適用期間は、新築後3年間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年間)です。

適用期限後は、建物の固定資産税が増加することになるので、急に増額になったと慌てないように覚えておきましょう。

 

また、土地については、利用用途が住宅である場合は、固定資産税・都市計画税に関して、課税標準の軽減措置があります。

小規模住宅用地(1戸につき200㎡までの部分)の場合

 

 固定資産税の課税標準額✕1/6

 都市計画税課税標準額✕1/3

 

一般住宅用地(1戸につき200㎡を超える部分)の場合

 

 固定資産税の課税標準額✕1/3

 都市計画税課税標準額✕2/3

 

土地の軽減措置については、建物の場合と違って、適用期限はありません。ただし、住宅を解体してしまったり、土地の利用用途が変わるとこの軽減措置は適用されなくなります。


まとめ

マイホームの購入に伴う税金は色々とあり負担も増えますが、軽減制度を上手く活用することにより、支払う税金を少なくすることができます。税金についての知識を身につけて、マイホームを賢く購入しましょう。

物件価格だけじゃない!マイホーム購入にかかる費用を知ろう

マイホームの購入に必要な費用は、売り出されている物件価格だけではありません。購入時の諸手続きにかかる費用、税金などがあります。さらに、マイホームを所有している間、ずっとかかり続ける費用もあります。物件価格だけを考えて購入したものの、色々な支払いが重なり「こんなはずじゃなかった!」を防ぐために、マイホームの購入にかかる全体の費用をしっかり押さえておきましょう。

 

購入時にかかる諸費用は概算で物件価格の3%から7%程度ですが、購入物件や住宅ローンの借り方によっても変わってきます。条件によっては目安よりも多くの費用が必要となる場合もありますから、余裕をもった見積もりをしておくと安心です。諸費用の主な項目は以下のとおりです。

 

1 印紙税

主に、不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、建築請負契約等の契約書を作成する際に必要です。

 

2 登録免許税主に、所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記をする際に必要です。

 

3 仲介手数料

不動産会社の仲介で買う場合、所定の手数料が必要です(宅地建物取引業法上限の定めあり)。

 

4 ローン費用等

金融機関から借り入れを行う場合、事務手数料やローン保証料、団体信用生命保険料、火災保険料等が必要です。

 

5 不動産取得税

マイホームを取得した際、都道府県が火星する税金です。

 

6 司法書士報酬

登記の依頼をした場合必要です。

 

7 日割清算

固定資産税・都市計画税、管理費・修繕積立金などを所有権移転日で日割り計算して売り主へ支払い精算を行います。

 

8 その他

引っ越し代や新たな家電家具の購入費用、マンションの場合は、管理費や修繕積立一時金、一戸建ての場合は水道負担金、中古物件の場合はリフォーム代が必要になることがあります。

 

マイホームは購入したら終わりではありません。マイホームを所有している限り、様々な費用が必要です。

 

1 住宅ローンの返済

毎月払う必要があり、20年から35年の長期渡る支払いになることが多いです。

 

2 維持・管理費

どの物件でも共通してかかるのが、固定資産税・都市計画税です。マンションを購入した場合は、毎月、共用部分の清掃や設備の管理運営を行う会社への支払いになどの充てられる管理費やマンションの大規模修繕に備えて積み立てる修繕積立金の支払いがあります。車を所有するならば、駐車場代も必要です。

 

一戸建ての場合は、マンションのような毎月の支払いはないものの、いつかは修繕が必要になりますので、計画的に修繕費を準備しておく必要があります。

 

マイホームの購入には、税金や仲介手数料などの費用が余分にかかるため、何が、いつ、どの程度必要になるか事前に把握して、購入資金の準備を進めましょう。

私たちに合う家は、賃貸物件と購入物件どっち?

住まいについては、「賃貸物件と購入物件はどちらが得か?」という話題をよく目にします。また結婚すると、親御さんや上司からは「家はいつ買うのか」と聞かれることも多くなると思います。

住まいは暮らしの中心になるべき場所です。損得で住まいを決めたり、周りが家を購入しているから我が家も購入しようということではなく、今後の生活を十分にイメージして、納得のいく住まいを探したいところです。



住まいに何を求めるか



家の購入や賃貸について悩む前に、まずは住まいに何を求めるかを考えてみましょう。

住まいに求めるものは人それぞれ違います。

 

・通勤に便利な場所に住みたい

・自然豊かな環境の場所に住みたい

・災害の少ない安全な場所に住みたい

・治安のよい場所に住みたい

・子育てのしやすい場所に住みたい など

 

自分が住宅に求めるものが明確になっていれば、購入物件や賃貸物件を選ぶ際に役立ちます。

 

賃貸と購入のメリット・デメリット

 

次に、賃貸物件と購入物件それぞれのメリット・デメリットを知っておきましょう。

 

賃貸物件の大きなメリットは、その時々のライフステージに応じて住み替えができる点です。新婚もしくは子どもが小さいうちは2DKの物件、子どもの成長や二人目以降の出産に応じて3LDKの物件へ引っ越し、子どもが成人し、夫婦ふたりになったら2DKの物件へ引っ越しなど柔軟に対応できます。

家庭の事情だけでなく、転勤が多い場合なども、引っ越しのしやすさはメリットになります。

 

また、住宅ローンの支払いがないことも大きなメリットになります。毎月の家賃の支払いはありますが、大きな住宅ローンを抱えるというリスクがないため、精神的に安定した生活を送ることができます。

 

賃貸物件のメリット

 

ライフスタイルに応じた間取りや立地をその都度選ぶことができる

ライフステージに応じた住み替えが簡単

周辺環境の変化や隣人トラブルがあった場合、引っ越しすることにより解決できる

多額の住宅ローンの負担がない

固定資産税等の支払いや修繕費などの維持費がかからない

転職による収入減などがあった場合、収入に応じた物件に住み替えができる

災害による資産価値の損失を受けない

物件の資産価値などを気にする必要がない など

 

一方、賃貸の最大のデメリットは、老後も家賃を払い続けなければならないことです。購入した場合、住宅ローンを完済してしまえば、固定資産税や火災保険、修繕費等はかかりますが、毎月支払わなければならないものはありません。

生活費の大部分を年金で賄う老後において、毎月の家賃の支払いは大きな負担となります。

また、この家賃の支払いを生涯続けたとしても、家という資産は手に入れることはできません。もし子どもに家という資産を残したいと考えるのであれば、物件の購入を検討する必要があります。

住み心地の面では、住居に気になるところがあったとしても、大家さんの許可がなければ勝手にリフォームすることはできません。カスタマイズ性が低いため、自分の思い通りの住まいにするのは難しいです。

 

賃貸物件のデメリット

 

老後も家賃の支払いが続く

更新料の支払いや家賃の値上げがある

家という資産が残らない

自由にリフォームができない

購入物件よりも設備のグレードが落ちる

騒音が気になる物件が多い

近隣住民とのコミュニケーションが薄くなりがち

高齢者への貸し渋りがある など

 

購入物件のメリット・デメリット

 

購入物件の最大のメリットは、家という資産が手に入ることです。住宅ローンを支払い終えれば、住居費の負担をぐっと減らすことができます。老後の生活を安心して暮らせる家があると精神的にもゆとりが生まれます。

 

また、注文住宅の場合であれば、自分のライフスタイルや家族構成に合わせた間取りの家を建てたり、好きな内装にする、老後を見越してバリヤフリー仕様にするなど、自分たち独自の家を建てることができます。

 

購入物件のメリット

 

家という資産が残る

住宅ローンが終われば住居費の負担が少なくなる

こだわった間取りや設備にできる 

住宅価格が上がれば、購入時よりも資産価値が上がることがある 

自宅を担保にお金を借りて老後資金とすることができる

子どもに家を残すことができる など

 

購入物件の最大のデメリットは、購入に多額の費用がかかることです。住宅購入の頭金や手数料、長年に渡る住宅ローンの支払いが大きな負担となります。固定資産税や火災保険などの支払いも家を持っている以上は必要になります。

 

また住宅ローンを組むと、2つの大きなリスクを負うことになります。

まず1つ目が転職や失業、病気などにより収入が減少し、返済が滞るリスクです。住宅ローンの支払いは長期に渡るため、こうした不慮な出来事に遭遇する可能性があります。そうしたときに支払いの猶予や見直しもできますが、支払えなくなってしまえば、マイホームを売却せざるをえなくなります。住宅ローン残高よりも高値で売却できればよいですが、住宅ローン残高よりも低額での売却となった場合、家を失ったのに、住宅ローンは残るという結果になることもあります。

 

2つ目は、住宅ローンを変動金利で借りた場合は、金利上昇リスクがあります。現在は低金利が続いていますが、今後20年、30年も同じ金利水準とは限りません。金利が上昇し、毎月の支払額が増加しすれば、家計を圧迫する可能性があります。

 

購入物件のデメリット

 

住宅購入のために多額の費用が必要

住宅ローンのリスクがある

資産価値が下落する可能性がある

修繕などのメンテナンス費用がかかる

災害リスクがある

住み替えがしづらい など

 

住宅費の支払総額でお得なのはどちらか

 

賃貸と購入の住宅費を比べてどちらがお得になるかという問題がありますが、これについてはどちらが得かは実際に時間が経過してみなければわかりません。

 

仮の数字でシュミレーションをしてみることもできますが、前提が違えば結果も変わってきます。例えば、住宅ローン金利が低水準のままで、資産価値も上昇していれば購入したほうがお得ですし、適切な住み替えによって家賃の支払いを少なくできるのであれば、賃貸がお得になります。

 

住まいをどうするかは、まず住宅に求めるものを明確にして、賃貸と購入のメリット・デメリットをよく理解したうえで、考えましょう。

賃貸でも購入する場合でも、ライフプランニングはとても役立ちます。それぞれの支出には特徴がありますから、ライフプランニング上において、理想の住まいを無理のない範囲で手に入れられるかしっかりと確認しておきましょう。

人生の3大資金を知ろう(老後資金)

リンダ・グラットン著の『ライフ・シフト』では、これからを生きる私たちは、長寿化の進行により、100年以上生きる時代、すなわり100年ライフを過ごすこととなると述べられています。

 

人生100年時代が到来し、会社をリタイヤした後の人生は、余生ではなく第2の人生になります。

あなたは、第2の人生をどこで、どんなことをして、暮らしたいでしょうか。



趣味や旅行をめいっぱい楽しむ時間と体力がある一方で、理想の生活には、お金が必要になります。

 

老後の生活費の支えとなるのは、公的年金です。

現役時代に加入していた年金制度に応じて、国民年金や厚生年金を受け取ることができます。しかし、この年金だけでは生活費を十分に賄うことはできません。

 

高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯)

 

実収入 237,659円(そのうち社会保障給付216,910円)

非消費支出(直接税や社会保険料など) 30,982円

消費支出 (食費や光熱水費など)239,947円

 

出所 総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編)2019年」

 

調査結果によると、毎月約33,000円ほどの不足額が生じていることが分かります。

夫が100歳になるまでの不足額を単純に見積もると、年間約40万円の不足が35年続くことになりますので、少なくとも1,400万円以上は不足することになります。

さらには、妻の余命分の生活費、理想の生活を送るための資金、家のリフォーム代や介護にかかる費用なども考えると、さらに多くのお金が必要でしょう。

 

充実した老後を送ることは誰しもが望むことだと思います。しかし老後のために今を生きる自分の楽しみを我慢することは、豊かな人生を送る上では本末転倒です。

 

老後のライフスタイルに合わせていくらお金が必要なのか、将来、どのくらいの年金を受け取ることができそうなのか、退職金はいくらもらえそうなのかなどを確認し、老後生活に必要な資金を計算してみましょう。

 

住宅資金や教育資金は、相続して家を引き継いだり、子どもがいなかったりする場合などは必要ないこともありますが、老後はだれしも等しくやってきます。直前になって慌てることのないように、現在の生活を充実させながら、できる範囲で老後資金の準備を早めに始めることが大切です。

人生の三大資金について知ろう(住宅資金)

ライフプランを考えるうえで、人生の三大資金といわれるものがあります。

それは、金額が大きく、必要な期間が長期に渡る「住宅資金」「教育資金」「老後資金」のことです。

 

今回は、そのうちの住宅資金について概要を説明します。

 

住宅は生活の基盤であり、「通勤に便利な場所に住みたい」、「自然豊かな環境の場所に住みたい」など、住宅に求めるものも様々あります。自分の思い描く住宅に住むことは、充実した人生を送るうえで欠かせません。

 

住宅を確保するには、基本的には、購入するか賃貸するかどちらかになることが多いと思いますが、いずれの場合でも、人生において、相当な金額になります。

 

特に購入する場合は、多くの方にとって、人生最大の買い物になるので、購入前に念入りな資金計画が必要です。

 

住宅を購入する方法として、全額自己資金、自己資金+住宅ローン、全額住宅ローンの3パターンがあります。このうち、自己資金+住宅ローンのパターンが一般的です。



したがって、自己資金をどの程度準備するか、住宅ローンの返済期間と毎月の返済額が無理のないものに収まっているかを検討する必要があります。



自己資金をいくら準備することができるかで、借り入れる住宅ローンの金額も決まってきます。それでは、自己資金はどの程度準備すればよいのでしょうか。

 

自己資金とは、物件の頭金と購入にかかる登録免許税やローン事務手数料などの諸費用に充てるお金です。諸費用は新築物件の場合、物件価格の3〜7%程度かかります。

 

自己資金は、一般的に物件価格の2割以上を準備することが望ましいといわれています。

国土交通省が公表した令和元年度の「住宅市場動向調査報告書」によると、分譲戸建住宅を購入した世帯の自己資金比率は26.5%、分譲マンションを購入した世帯の自己資金比率は39.4%となっています。

 

購入したい物件が4,000万円であれば、800万円から1,600万円程度が目安といえます。

住宅を購入する場合は、早めに購入時期を定めて、計画的に資金の準備をしましょう。



賃貸の場合は、2年に1回の更新料の支払い、住み替えにかかる敷金、礼金、仲介手数料、引越し代などが必要となるため、ライフプラン上に見込んでおく必要があります。

さらに、購入と賃貸の大きな違いとして、賃貸の場合は、老後資金として、月々の家賃の支払を考慮しておく必要がある点です。

 

年金が主な生活資金源となる中で、月々の家賃を支払うことは大きな負担となります。

住宅を購入せず、賃貸を選択する場合は、早いうちから、老後にかかる家賃分を考慮した貯蓄を進めるようにしましょう。